眠りの森のシンデレラ

「観念しろ。もう、お前は俺のものだ、逃しはしない」

人生最大の過ち……琶子は不甲斐ない精神を呪い、惰弱な軽口にガクリと肩を落とし、闘争心を失くす。

「おい、聞いているのか!」
「はぁ」

気の抜けたような琶子の返事に、清は片眉を上げる。

「まぁ、いい。取り敢えず、お前、どこへ行きたい?」

唐突な質問に、琶子は、この人との会話には通訳がいる、意味が分からないんですけど、と清を見る。

「リハビリに付き合え、と言ったのはお前だ。自分の言ったことも忘れるほど、お前はバカなのか?」

二言目にはバカ、馬鹿、莫迦……さっきまで甘い言葉を吐いていた口は何処へ行った! ピキピキと琶子の米神に怒りマーク浮かぶ。

「あのですね、その態度はどうかと思います」
「何がだ!」
「それです。その偉そうな態度です」
「偉そうではなく、偉いのだから当然だろ」

嗚呼、駄目だ。この人、やっぱり王様だ。

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