眠りの森のシンデレラ

「ねぇ、薫、それよりさぁ、レストランMと提携してよ。冬季デザートプロデュースしてよ」

「初対面で厚かましいわね! 先程から申し上げている通り、お断りします。年間スケジュールが目一杯なの」

「他の断っちゃってよ。ねぇ、お願い!」

裕樹は両手を合わせ、上目使いに薫を見つめる。
通常なら、極上綿アメ系イケメン裕樹のこのお願いポーズは効果絶大なのだが……。

「あのね、伊達にオネエ気取ってないの、ワ・タ・シ。貴方の駄々っ子作戦なんてお見通し。そろそろ本性現わしたら」

一筋縄でいかないのが、眠りの森の住人たちだ。

アチャァー、と祐樹は片手で目を覆い、極辛桃薔薇系オネエの薫には全く効き目無し……か! と舌打ちをする。

薫はフンと鼻を鳴らすと、優雅に長い足を組み換える。

あまりに色っぽいその様に、則武はゴクリと唾を飲み、もし奴が本物の女性なら、即、口説いているのに、と心の中で残念がる。

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