眠りの森のシンデレラ
「で、何の用だ?」
清は応えず、逆に質問する。
「ここはいつから有名人ご用達のシェアハウスになったのだ? 母の遺志は無視か? 眠りの森は確か、訳あり女性の避難所……シェルターだった筈だが」
「どういう意味だ?」
金成が怪訝な表情を浮かべる。
「近江琶子、桜井薫、池田登麻里、皆、著名人だ。そんな奴等にここを貸すつもりはない」
「あぁ、アイツ等の事を言ってるのか」
なるほど! と金成は合点がいったと頷く。
「アイツ等は、ここに住んでから有名になった……というよりも、ここに住んだから、人生が上向きになったのかもしれない」
金成の説明が理解できない清は、「どういう意味だ?」と尋ね返す。
「ほー、やっと眠りの森に興味を持ってくれたか。そうだな、オーナーであるお前には、住人たちのことを知る権利がある」
金成は真顔になり、話し始める。