眠りの森のシンデレラ
清はようやく書類から目を離すと、大きく息を吐く。

「お前たちは根本を間違えている。我々が向かっているシェアハウス眠りの森は、俺の私的所有物だが、管理運営一切を金成不動産に一任している。近江琶子なる人物がこの場所に居ることも、金成との関係も、今回の件で初めて知った。さらに、会合の実現は奴有ってだ。よって、金成の登場は当然のことだ」

「清……マジかよ。ヤツと一戦交えろ……てか?」

則武はムンクの叫びポーズで「アンビリーバブル」と叫び、ガクリと項垂れる。
その肩を裕樹がにこやかに叩き言う。

「ドンマイ! こうなったら、清に任せちゃうっていうのはどう?」
「俺の出番はない」

裕樹の無責任発言を、清は即座に一刀両断する。
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