眠りの森のシンデレラ
清は眉間に皺を寄せたまま、今回の成り行きを反省していた。
そもそも、何故、金成に近江琶子の話をしたのだ、と自分を諌(いさ)める。
いくら幼馴染が困っているからといって、普段なら完全スルーの筈が……やはり系列グループ、ローズホテルが関与していたからか? しかし、まさか金成が「琶子なら眠りの森にいる」と、万に一つも思っていない答えを返してくるとは……厄介なことに巻き込まれた、と清は心の中で舌打ちする。
「ところで……後、どれぐらいで着くの?」
リムジンは木々の合間を通り抜け、クラシカルな石畳の上を静かに進んで行く。
裕樹の問いに、「五分」と清は瞼を閉じたまま答える。
則武がパワーウィンドウのスイッチを押し、窓を開ける。
ひんやりと澄んだ空気が車内に流れ込む。
盛夏を思わす森の木々は、深く濃い緑に覆われ、活力ある『気』と『香り』を贅沢なほど撒き散らし、辺りを慰安なる場にしていた。
それ故だろうか、清の眉間の皺がわずかに浅くなる。
そもそも、何故、金成に近江琶子の話をしたのだ、と自分を諌(いさ)める。
いくら幼馴染が困っているからといって、普段なら完全スルーの筈が……やはり系列グループ、ローズホテルが関与していたからか? しかし、まさか金成が「琶子なら眠りの森にいる」と、万に一つも思っていない答えを返してくるとは……厄介なことに巻き込まれた、と清は心の中で舌打ちする。
「ところで……後、どれぐらいで着くの?」
リムジンは木々の合間を通り抜け、クラシカルな石畳の上を静かに進んで行く。
裕樹の問いに、「五分」と清は瞼を閉じたまま答える。
則武がパワーウィンドウのスイッチを押し、窓を開ける。
ひんやりと澄んだ空気が車内に流れ込む。
盛夏を思わす森の木々は、深く濃い緑に覆われ、活力ある『気』と『香り』を贅沢なほど撒き散らし、辺りを慰安なる場にしていた。
それ故だろうか、清の眉間の皺がわずかに浅くなる。