眠りの森のシンデレラ

流されている……。この状況……どうしたものか……?
琶子は清のエスコートを受けながら、帰るに帰れなくなった我が身を持て余す。

おまけに、市之助が横にピタリと引っ付き、身辺調査? と思えるほどの勢いで眠りの森での生活ぶりを聞いてくる。

それは食事中も続き、琶子とゆっくり食事を楽しもうと思っていた清はとうとうブチ切れる。

「お祖父さん、いい加減にして下さい! 何故そんなことを聞くのですか!」

「フン、何を怒っている。責任からだ。眠りの森を紹介したのは私だ。私が琶子をあの場所に閉じ込めたのも同じだからだよ。金成は私の訪問を拒否するし……全くアヤツめ!」

市之助の怒りが再発する。

「あのぉ……」と琶子が口を開く。
「母の知り合いなら……母の現在をご存じですか?」

あれ以来、琶子は母親と会っていない。

体と心が癒えるに従い、母親の安否が気になり、金成に聞いてみたりしたが、金成も知らない、と言うばかりだった。

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