願 叶



そう叫んだのは、私だった。


全速力で走り、私は廊下を歩いていた雅君を見つけてギュッと左腕を握った。


「みっ・・・みや・・・。」


全速力で走ったせいか、息が切れ上手く雅君と話せない。


「どうしたの?」

私の叫び声で雪君も驚いた表情で私の所へと来た。


呼吸をととのえ、話す。


「かっ・・・楓ちゃんに・・・。」


しかし、あまりにも声にならず、風呂場の方向を震えた指でさす。


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