願 叶



「そうっスか。」
ヘラヘラ笑う唯。

「はよ行きぃ。」
俺は右手で虫を追い払うように手をヒラヒラさせた。

唯は屋上を囲むフェンスを軽々とのぼり、その上へと立った。


まるで猿やなぁ…。

「何か言ったっスか?」


地獄耳。つか、声に出してへんけどなぁ。

「いいや。何も言うてへん。」



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