願 叶
楓ちゃんが焼き鳥を私にさしだしている横から、その焼き鳥をひょいと奪う、さっきのパーカー少年。
「オイ、楓。また、李織さんが料理してる時に盗んだなっ!?」
李織(イオリ)?
誰だろう・・・。
「だって、お腹空いたんだもん。」
口の中につめこんでいた物を飲み込み、楓ちゃんは頬をふくらまして、そっぽを向く。
パーカー少年はため息をつき、私をじっと見つめる。
「部屋に案内するよ。」
そう言って、私は中央階段の奥へと連れて行かれた。
何か気になり、ふと後ろを振り返った時には楓ちゃんの姿はもう何処にもなかった。