生き続ける意味

思わず両手で目を隠した。


「桜、おはよう。」


聞こえてきたのは、あたたかい声。


「亮樹兄ちゃん...。遅いよ、約束したのに。」


そう言って不機嫌そうにするあたしに、亮樹兄ちゃんは笑った。


「ごめんって。来てたんだけど、緊急で呼ばれちゃってさ。」


よくみれば、じわっと額に汗をかいていた。


「えっ。そうだったんですか。朝からお疲れ様です。...あ、桜ちゃん、まだ朝ごはんも食べてないんですよ。」


苦笑いの茜さん。


.....今日は検査で それどころじゃないもん。




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