生き続ける意味
とにかく、めちゃくちゃに謝った。
亮樹兄ちゃんは、ため息をひとつ。
「はぁ。せっかく治療始めるまでの時間とってあげようとしたのに。もう、それもなしだね、わかった。」
さらりと言い捨て、なにやらカルテらしきものにペンをすべらせる。
え、...えっ?
「亮樹兄ちゃん、いまなんて...。」
あたしは、亮樹兄ちゃんをじっと見つめる。
亮樹兄ちゃんは、あたしに向き直ると、落ち着いた口調で。
「検査の結果、あともうひとつわかったことがある。それは、桜の病状の進行はゆっくりだってこと。」
ゆっくりうなずく。
ほんとうなら、それだけでも喜んでほっと胸を撫で下ろすくらいだけど、亮樹兄ちゃんの緊張感におされた。