生き続ける意味
こんな調子で話が終わって、診察室から出ようとした。
「桜、部屋まで一緒に行くよ。」
あたしは、首を振った。
「ううん。ひとりで平気。...じゃあね、おやすみ。」
「...わかった。おやすみね。」
ガッチャン
診察室の扉がしまった音で、ふっと力が抜けて、その場に崩れ落ちた。
薄暗い廊下に、冷たい廊下。
なんだか、一気に気持ちが込み上げてきて。
「ッ...!ふっ... ヒック..」
涙が次々とあふれでてくる。
我慢していたぶん、止まらななくて。
必死に口を手で押さえるけど、ほんとはそんな余裕ない。
だれか。そばにいてほしい。
だれか。だれか......。
でも、こうしてひとりで帰るって言ったのも、泣きたかったから。
泣きそうだったから。
泣いてるあたしの姿なんて見たら、亮樹兄ちゃん悲しい顔するよ。
もっと不安になっちゃうよ。
だから、ダメ...。
... けど、やっぱ無理だよ...。
怖いよッ... 苦しいよッ... 寂しいよッ...
薄暗い廊下が、また心を不安にさせてくる。