生き続ける意味
亮樹兄ちゃんは一言もしゃべらずに、あたしの隣に座る。
「はい、桜はかって。」
そう言われわたされた体温計。
さっきと変わって、有無をいわせない声。
「うん...」
しぶしぶ脇に挟むと、次は聴診器を向けてきた。
「り、亮樹兄ちゃん?あたし、元気だよ?」
亮樹兄ちゃんは、あたしの頭をくしゃっとなでた。
「うん、大丈夫。念のため、ね?」
そう笑いながら、あたしの服をめくり聴診器を当てた。
体に当たるたびに冷たい...
亮樹兄ちゃんのか顔が真剣な顔。
何ヵ所かポンポンと当てると、服をもとに戻された。
「...ん。オッケー。
まあ熱もないし、体も大丈夫そうだからいいよ。
でも、体調悪くなったらすぐ言うこと!黙ってたらいたーい治療がまってるからな。」
そうニヤリと笑い、また頭をなでた。