生き続ける意味
このままじゃダメだ。
今回は佑真のおかげで大事は防げたものの。
主治医は俺。
俺のせいで、桜を危ない目に合わすところだった。
「ちょっと... 頭冷やしてくる。」
そう一言いって、病院の外に出た。
これから先、こんなことがあったら治療どころじゃない。
医者の俺が患者に危険な目にさらすことになる。
...なんでそうなるかは、わかってる。
最初は医者と患者だった関係が、いつしか家族になってるから。
だから、桜の事を思うばかりに、どうしても助けなきゃって、あわてて余計な感情移入して、頭がまわらなくなった。
もちろん患者みんな助けなきゃいけるけど、身内だから余計にそうおもってしまう...。
医者としてじゃなくて、家族としてみちゃっている。
そしたら、医者としてどれが最善かが判断できなくなってしまう...。
思えば、今回だけじゃなくて、治療中も辛そうだから、かわいそうだからっていって正しい判断ができていたのかわからない。
嫌な考えが、頭のなかをぐるぐるまわる。
「なら、いっそ桜を思えば、
他の医者の方がいいのか...?」
...なんてことさえも。