生き続ける意味
家に、帰りたい。
あたしの足は自然と動いていた。
ゆっくり、ゆっくりだけど。
点滴台に寄りかかりながら。
病院も、これで最後がいい。
痛い思いなんて、苦しい思いなんてしなくないもん。
知らない看護師さんに、「大丈夫?」って声かけられるけど、むりやり微笑んでうなずいた。
小さい子が多いから、ぶつからないように気をつけなきゃ...。
よたよた歩いてて、ようやく小児科の出入り口まで来た。
点滴台... これ、じゃまだもんね。
左手にに刺さってる針を、ぐいっと抜いた。
血が出たけど、大丈夫。
そう勝手に判断して、あるきだそうとしたそのとき。
「桜ちゃん?」
「...えっ。は、るちゃん?」
声のさきにいたのは、車イスに乗って、前にあったより一回り痩せていた晴ちゃん。
晴ちゃんは首をかしげて。
「どうしたの?そんな顔して... なにかあったの?... って!」
晴ちゃん、あたしが点滴抜いたあと気づいたみたい。
「桜ちゃん、はずしたの?」
こくっとうなずいた。