生き続ける意味
あたしは勢いよく首を振った。
「ちがっ...!!ごめん。ごめんなさい...!
あたしが体調悪いのずっと黙ってたから。」
必死で言うけど、亮樹兄ちゃんは首を振った。
「いや... 俺が悪いんだよ。
医者のくせに、はやく見抜けないなんて。」
小さく、弱々しい声。
なんか、おかしい。いつもの亮樹兄ちゃん...じゃない。
なんか、落ち込んでるような。
「はい、そろそろ桜ちゃんはお部屋戻ろうかな?
まだ目を覚めたばかりだろうし。疲れただろう?」
さっき見かけたおじいちゃんの先生が、後ろから声をかけてきた。
おっとりとしていて、しわくちゃだけど優しい笑い方。
...誰だろ?
すると、亮樹兄ちゃんは急に改まって。
「そうですね。桜、お部屋戻って休もう?」
あたしは黙ってうなずくと、ふたりのあとについていった。