生き続ける意味
夜。
何時かなんて、知らない。
病室に連れ戻されてから結構経って、夜になっちゃった。
「あのさ、桜。」
ベッドに座って、目の前のイスに座ってるのは白衣を着た亮樹兄ちゃんで。
しんと静まり返ってる。
あたしは、なんとなく目を合わせられなかった。
「ねぇ。」
とりあえずうなずくだけ。
「桜さ。もっと良い先生に治してもらおう?」
静まり返ったなかに、突如刺さった針のようなもの。
それは、完全にあたしの心にささった。
「...なに?」
まだうつむいたまま。
なに?良い先生に治してもらうって。
どういうこと?
「だからね、もっと上手な先生なら...桜の病気、治せる。」
ずん、とのしかかる鉛みたいなもの。
はあ?なにが言いたいのよ...。
意味が、わからない。
そうだよ、亮樹兄ちゃん。
亮樹兄ちゃんの考えてることが、わかんないよ。