生き続ける意味
「もっと、良い先生?」
自分でも驚くほど乾いた言い方になった。
亮樹兄ちゃんがどんな顔してるかわかんないけど、わかる。
絶対、悲しい顔だ。
「...そう。桜だって元気になるんだよ?」
言葉がつまってる。
「だから、俺と主治医を変えよう。その先生と。」
頭が、まわらなくなった。
真っ白になって、体も動けなくて。
なに......言ってるの?
じゃあ亮樹兄ちゃんは、もう違う先生なの?
なんで?なんで?
あたしの...病気が悪いから?
助からないから?
亮樹兄ちゃんは治せないの?
......それとも、あたしを嫌いになった?
頭のなかをぐるぐるとまわって、終わりがない。
そして、はじめて顔をあげた。
でも。目の前にいるのは、すっかり医者の亮樹兄ちゃんだった。