生き続ける意味
じっと桜を見つめ、口を開いた。
「桜?」
「...ん?」
「ごめんな。急にあんなこと言って。
俺も慌てててさ... 桜のことを考えずに言っちゃって...。
ほんとうにごめん。」
しばらく沈黙が続いた。
「あたしね、いいよ...。
亮樹兄ちゃんの言うこと聞くね。だから、別にいいの。」
......え?
言うこと聞くってことは、俺と変えても...。
俺の方をまっすぐ見つめる桜の目は、少し潤んでた気がした。
「え?あんなに嫌だっていってたのにか?
だから、倒れちゃったんだろ?」
桜はうなずく。
「けど、いいよ。
まぁ嫌だって言っても、無理矢理にでもされると思うし...別に。」
そういうと、逆の方向に寝返りをうった。
桜の乾いた言い方が、気になる。
「そ、そんなこと... 」
「だから、いいって。亮樹兄ちゃんの言う通りにします。」
そうぴしゃりと言われた。
「...桜、俺は桜のこと、大好きだから。」
そう一言言って、髪をなでると病室から出ていった。
でも、俺はそのとき。
桜が夜通し泣いてたことなんて、
知りもしなかった。