生き続ける意味
あたしの体は、無理やり腕を切りつけようとする。
やだ... 怖いっ...
そんな心の声さえも無視して。
刃が腕にあたった。
それと同時に、あたしの手にふわりと暖かい手が重なった。
「桜、やめろ...」
それでも、止まらない。
どんどん力を加えていって、刃の先が入ろうとしたとき。
ドンッ
鈍い音をたてて、視界が回転した。
あたしは床に倒された。
亮樹兄ちゃんが手に力をかけて、横に倒された。
そのときに、カッターをもっていた手もしっかり離されて。
ポタ...
「... えっ... ?」
あたしの手に、ひとつの血がポタッと落ちた。
あたしの... 血じゃない。
じゃあ... じゃあ...... 。
あたしの右腕を押さえてる、亮樹兄ちゃんの手を見ると...
あたしがもっているカッターの刃を直接つかんで、先端が親指の付け根に刺さっていた。
「......!!」
あたしは、おもわずカッターをパッと離した。
すると、カッターは床にコロンと落ちる。
もちろん、刃には血がついて。