生き続ける意味

......そういえば。数年前も、こんなかんじにすわってたな。


あたしが小学4年生の夏。体調が悪くて、発熱が続いたんだ。あまりにも続くもんで、亮樹兄ちゃんが異変に気づき病院に連れていかれて、詳しく検査したら、“がん”だってことがわかった。


10歳だったあたしにもわかったよ。死んじゃうかもしれないんだって。


亮樹兄ちゃん、自分であたしに病気なんだよって言ったのに、泣いてるんだもん。


今でもはっきり覚えてるんだよ。今まで、あたしの前ではいつも頼もしくて、叱ったりしてるのに......。わんわん泣くんじゃなくて、耐えるような泣きかた。


あたしに聞こえないように、 夜中にリビングで泣いてた。でも、ときどき嗚咽がもれてて。


あたしも亮樹兄ちゃんが泣いてるのにあせっちゃってたけど、なにもできなかった。

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