生き続ける意味
病院で入院してるときでも、ときどき怖くて抜け出して、家に帰りたくても帰れなくて、待ち合い室のイスに座ってぼーっとしてるときがあった。
......やめよう。思い出したくもない。
そう思ったときだった。おでこにあたたかい手がのった。
「また熱くなってきたな。」
「......亮樹兄ちゃん。」
白衣を脱いだ亮樹兄ちゃんは、あたしを立ち上がらせると、 手を引っ張り歩き始めた。
「帰るよ。」
廊下を歩くあたしたちの足音は、低く廊下にこだましていた。