生き続ける意味
強い薬...
「それって、あたしの中の...悪いところを殺しちゃうため?」
心臓が、バクバクしててうるさい。
ドキン、ドキンと脈を打つたびに不安が押し寄せて。
亮樹兄ちゃんは、あたしの顔を手で包み込むと、言った。
「うん。そういうことになるかな。
桜の体の悪いところを、薬で追い出しちゃってから移植するんだよ。
その薬が、いまやってるやつね。」
視線が点滴の方にいった。
移植するための... 治療。
これから何が起こるんだろ。
今までより、もっと大変なんだよね?辛くなるんだよね?
ぎゅっと、目をつむった。
怖くて。不安で。
「桜。」
ふいに呼びかけられて、ぱっと目を開けた。
その瞬間、一粒の涙がポロっと手のひらに落ちた。
あたしの顔を見ると、優しく笑った。
「大丈夫。亮樹兄ちゃんがついてる。
俺がいるから。そんな不安がるな。
絶対に大丈夫だからな。」
そうぎゅっと抱きしめられた。