生き続ける意味
うつむいて、涙でいっぱいだから何も見えない。
「桜。」
そう亮樹兄ちゃんは優しい声で言って、背中をさする。
「んんっ... げほっ... おえっ」
さすられた反動で、戻してしまった。
「やっ... 苦しい。やめてっ... 」
それでも、さすり続ける亮樹兄ちゃん。
「そう、ぜんぶ吐いちゃいな。楽になるよ。」
その口調とは裏腹に、手は動き続ける。
なんども、その手を振りはらおうとしたけど、あたしに力なんてとうていなくて。
結局、おさまるまでそうされた。
「うぅっ... ひっく」
涙と苦しいのでいっぱいで、嗚咽が止まらない。
ゆっくりと立ち上がって、洗面台まで行くと、すこし口をゆすいだ。
「桜、おつかれ。つらかったな。」
って、今度は優しくポンポンっと頭をなでられた。