生き続ける意味
む、きん..しつ。
治療が嫌で、緊張していた気さえなくなった。
胸にどーんとおもりが乗せられた気分。
けど。わかってた。知ってたよ、いつかそうなるかもしれないってことぐらい。
なにも言わないあたしに心配したのか、亮樹兄ちゃんは隣に座る。
「無菌室って聞いたことあるかもしれないけど、
治療するにあたり、桜の体は抵抗力が弱くなっちゃうんだ。
だから、ばい菌が入らないようにするための特別な部屋だよ。」
つまり、あたしの体の抵抗力がなくなってしまうほどの薬を使って、治療... するんでしょ?
... どうしよう。うつむいたまま顔があがらないよ。
怖い... よ。
けど。約束しちゃったもんね。がんばるって。
亮樹兄ちゃんもあたしのためにやってくれてる... だから、こたえないと。
「桜?大丈夫か?」
弱々しい声に、あたしが頑張らなきゃって思ってしまう。
ゆっくり顔を上げた。
「... うん。だいじょうぶ。」