生き続ける意味










ところ変わって、懐かしの病室。




あたしの持ち物はなくなってて、ほんとに真っ白いお部屋。




「りょーき兄ちゃん。まだ痛い…。」




針を刺した所が未だに痛い…。


それに、肌寒くてパーカーを着た。





けど、亮樹兄ちゃんは、近くのイスに座りながら笑った。



「まぁー我慢してよ。時間がたてばたぶん治まるだろうし。」



いや…治まってくれなきゃ困るんだけど。




心の中で思いながら、ベッドに仰向けに倒れた。



ふぅと息を吐きながら、目を閉じた。





すると、聞こえてくる声。



「…なぁ、なにがあった?」





顔を見なくてもわかる。真剣だ。




あたしは、なんとなく顔を合わせられなくて、灰色の床を見たまんま。



しばらくすると、口が勝手に動いてた。




「ねぇ…あたし、どうしたらいいの?」



きっと、心の底からの声。



だって、どうしたらいいのかわからない。




ほんとは…人のことなんて考えてられないのにね。


自分の状況を考えてみたら、人のことなんて。




けど。気がつけば、脳裏に晴ちゃんが浮かぶ。



一緒に闘ってるんだって。

だから、頑張ろうって思えるの。










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