生き続ける意味
★ ひとつの命と向き合うとき
* きっと大丈夫だから
「んーっ、いたいよっ!いたいぃ... 」
朝方から、叫び声がこだまする。
「痛いなー、もう少し我慢してくれよ?」
そう言いながら、背中をさする亮樹兄ちゃん。
でも、あたしの目にはもう涙がたまっていて。
気がつくと、ぼろぼろとながれている。
「むりっ... ねぇ亮樹兄ちゃんっ... 」
なにされてる訳じゃない。
再び抗がん剤治療を始めてすぐに、副作用があらわれた。
40度を越える発熱。頭痛。
関節が痛くて、骨も痛い。
頭も痛い。全部痛いよ。
今、薬をいれてもらってるけど、効き始めるまでに時間がかかる。
結局、ベッドの上で、体力もないくせに暴れる始末。
「痛いっ、いたぁいよっ!」
「ほらっ点滴取れるって。」
そう言い、亮樹兄ちゃんの膝の上に座らされた。
ぎゅっと、抱きしめるかんじで押さえてる。
「桜、大丈夫だからなー?もうだんだんと治ってくるから。」
「むりーっ!!いたっ... 」
こんな会話がいつまで続いたのか…
気がつけば、おひさまはてっぺんにのぼってた。
「すぅー…すぅー…」
自分の呼吸音だけが聞こえる。
ゆっくり吸って…吐いて。
こうすると、ちょっと楽。
朝方の痛みは、薬のおかげでひいたけど。
ガラッ
ドアが開いたと思うと、茜さんが入ってきた。
点滴の様子を確認すると、あたしの手首をつかむ。
「…うん、脈は安定してるね。」
にこっと微笑むと、頭をなでられた。
「息苦しくない?大丈夫?」
あたしは小さくうなずく。