生き続ける意味
* 生と死の境界線
〜桜side〜
とてつもない痛みが襲った瞬間、ふっと目の前が真っ黒になった。
なんだか、体中の痛みがとれた。
体が軽くなって、楽になった。
薄っすらと目を開けると、目の前に広がっている、どこまでも続く白いもや。
「…どこ?ここ…」
あてもなく、ただひたすら前に進んでいくも、あるのは白いもや。
暖かいとか寒いとかはなくて、目の前に見えるもの、聞こえるもの、感覚がすべて。
自分の服は、入院服。
だぼだぼのズボンにTシャツの上にパーカー。
腕には、入院中いつもしている、名前や生年月日、血液型が書かれたリストバンド。
千崎 桜
6月20日
A型
あたしの…。
頭がぼーっとして、よくわからない。
けど、病院じゃないし、家でも…。
家?…まさか。
白いもやの中を進むと、ひんやりとしたのが足に触れた。