生き続ける意味
「ん?どした?」
桜はふにゃって笑った。
「この検査で、少しでも良くなってたりしないかなぁ。」
少し寂しそうに、言った。
天井を見上げたまま、目を閉じた。
「あたしね、ずっと不思議な夢見てたの。
亮樹兄ちゃんとか翔とか実優とか…学校の友達とかいろんな人に会う夢。
だからね、大丈夫だよ、亮樹兄ちゃん。」
笑顔になった桜が、俺の方を見た。
大丈夫って…なにが?
「わかってるよ。奇跡、なんだよね?
治るのはさ。自分の病気に打ち勝って、また元気になれるのはさ。」
桜、何言ってるんだ…?
「桜?だいじょ……」
「亮樹兄ちゃん!あたしね、ずっと言ってなかったことがあるの。」
桜はよろよろの体で、力を振り絞ってベッドの上に座った。
そして、くしゃっと笑った。
「あたし、幸せだよ!幸せ者。
亮樹兄ちゃんにさんざん、嫌だとか苦しいとかいーっぱい言っちゃったけど…
ほんとは、ほんとは心の底でね?いつも思ってたと思うの。
あたしは、たくさんの人から支えてもらえて、愛されてて…幸せだって。
だから、どんなに大変なことでも乗り越えられたと思うの!
その気持ちは、今も変わらないの。」