生き続ける意味
「亮樹兄ちゃんっ……うわぁぁんっ……あたし、うれしい…!
こんなっ、こんなうれしいの、初めて…!!」
肩にしっかり腕をまわして抱きついた。
白衣の消毒液のにおいも、今はわるくない。
「うん、そうだね!!よかったな…!!ほんとによかった…」
亮樹兄ちゃんも鼻声で、泣いてる。
けど、あたしはもっともっと泣いた。
外に聞こえるとか、そんなの気にしないで、大声で泣いた。
やっと、もとの生活に戻れるんだ。
学校に通えて、家で過ごせて、友達と遊べて。
勉強できて、授業出れて、体いっぱい動かせて…
こんなに、自分の病気で悩むこともなくなるし、治療とかで苦しむこともなくなるんだ。
死ぬことを怖がらずに過ごせるんだ。
こんなにっ…こんなに幸せなことってあるの?
「亮樹兄ちゃんっ…?」
「ん?なに?」
「じゃあ、亮樹兄ちゃんともずっと一緒だね!」
亮樹兄ちゃんは笑った。なんか、こんなにうれしくて笑ってる亮樹兄ちゃん、ひさしぶりに見た気がする。
「当たり前だよ、バカ。なんだと思ってたんだよ?」
ふふふっ。
あたしも、久しぶりに心から笑えた気がした。