生き続ける意味
* なくなった光
翌日。
あたしはいそいで、晴ちゃんの病室に行った。
朝5時半。夏の朝だけど、今日は少し涼しい。
自分でなんとか車イスに乗って、なしなしの力で力いっぱいこいだ。
「晴ちゃんっ……」
晴ちゃんのお部屋まで、もうすこしっ…。
静かな廊下に、車イスのこぐ音だけ聞こえる。
「はぁっ…はぁ…」
よし、ついた……
けど。扉を開けられない。
『あのさ、晴ちゃんが今…すごい危ない状態なんだ。』
『晴ちゃんが…?な、なんで?!』
『桜が意識ないうちに、いろいろあってな……毎日を精一杯生きてるってかんじだよ。
……もしかしたら、今日の夜にも…。』
昨日の夜、突然言われた。
その直後は信じられなくて、ただただパニックだったけど、一晩たって冷静になれた。
なぜって、思い出したんだ。
あたしが意識を失う前、すでに晴ちゃんはICUにいたんだよ。
ってことは、すでに危険な状態ということ。
それから、さらに危険…ってことは、相当危ない。