生き続ける意味






「…それ、晴ちゃんの部屋で見つけたのか?」




気がつくと、いつの間にか亮樹兄ちゃんがいた。





「亮樹兄ちゃんっ…なんで?」




亮樹兄ちゃんは聴診器と体温計を取り出した。




「回診。ちょっと早めの。」




亮樹兄ちゃんはあたしに体温計をわたした。




「それ、晴ちゃんがお前にって。」






「…ほんとに?」





「うん。ICUに入る前に書いたみたいだけど…」




ICUって……!!入る前から?ってことは、こうなるってわかって…





「……ん、音はいいね。大丈夫。

…桜、ごめん。昨日連れてけばよかった。」




亮樹兄ちゃんも、目が少し赤くなってた。





「…ううん。亮樹兄ちゃん、すこしひとりになりたいの…。」



亮樹兄ちゃんはうなすくと、病室から出ていった。







< 708 / 737 >

この作品をシェア

pagetop