生き続ける意味
桜の柄が書かれた、ピンク色のノート。
少しだけ、ホコリがついていた。
日記帳。あたしが入院する前までの。
ペラペラめくると。
去年の12月5日
最後のやつだ。
"どうしよう。どうしよう。
そろそろ限界かも。薬も効かなくなってきた…
倒れる前に、亮樹兄ちゃんに言ったほうがいいのかな…?
けど、怖いよ。再発だったらどうしよう"
なつかしい……
あたしが部活で倒れるちょっと前だ。
あたし、乗り越えたんだなぁ。
ここから、がんばったんだなぁ……
ぽろ、ぽろ…
涙が、手のひらに落ちた。
…なんでだろ。どうしてだろ。
もう、終わったことなのに。
「ひっく……っ…」
悲しい気持ちなんて、ないのにっ……
ガチャ
「おーい桜、夕飯……ってどうした?」
後ろから、亮樹兄ちゃんの声がした。