生き続ける意味
「それ…いつわかってたの?」
亮樹兄ちゃんが、あたしと向き合うように座った。
自然と目が合う。
「…んー、移植の前の抗がん剤のときから?かな?」
千羽鶴を手に取る。
小さい鶴、ひとつひとつが大切なもの。
今思えば、自分がもうすぐ死んじゃうってわかってても、人の病気が治るように千羽鶴作ってくれたんだ。
…あたしだったら、そんなことできるかわかんない。
晴ちゃんがどんな気持ちでこれを作ったのか……。
想像しても、胸が苦しむ。
「……ごめんな。」
えっ…?
突然、亮樹兄ちゃんの弱々しい声が聞こえてきた。
「不安だったよね。不安どころじゃないよね。もっと…。
俺、知らなくて…。」
いや、そんな顔しないでよ…。
亮樹兄ちゃんは、全然悪くなんかないんだから!
「亮樹兄ちゃん悪くないよ!
あたしの体だもん…。それに、亮樹兄ちゃんに言うと、余計心配させちゃうでしょ?」
あたしは、安心させるように笑った。