生き続ける意味

あたしはもう、聞こえるか聞こえないかのような声を振り絞って言った。


「だから、もういいって!気にすんな。わかってるから、本心じゃないこと。」


あたしは小さくうなずいた。


あっ。そうだ。...言わなきゃ。


もう決めたっていうのに、いざ言うとなると、心臓の音が速くなる。


「亮樹兄ちゃん。......あたし、治療...うける.....っ。」


消えそうな声をなんとか頑張って出した。


すると、あたしの目の前にうつるのは、はとが豆鉄砲をくらったようなポカンとした顔。


「へ... ?いまなんて?ち、治療するの?」


...なんでそんなに、驚いてるの?あなたがしろって言ったんでしょ。


たっぷり1分かたまると、亮樹兄ちゃんはあたしの頭をもうメチャクチャになでた。


「いっ、痛いって!ちょっと...。」



< 86 / 737 >

この作品をシェア

pagetop