[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。
人ごみをくぐりぬけてなんとか切符を買って改札を抜けることが出来た。
「みんな花火大会に行くのかな」
麦わら帽子を右手で押さえながら俺を見上げる実花。
途端に抱きしめたくなるような衝動に耐えつつ小さくうなずく。
「多分。今日ある大きい祭りって、花火大会くらいだし」
「私たちは楽しいからいいけど、警察の人とか大変そう」
「なんでいきなり警察?」
首をかしげると実花はピッと人差し指を立てて解説してくれた。
「だって、人がたくさん集まる場所に事件は付き物でしょ?だから警察の人は大変なんだろうなーって思って」
「実花は警察に迷惑かけるなよ。カバンひったくられたり、酔っ払いに絡まれたり、その他諸々事件に巻き込まれてくれるなよ」