[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。
「ねえねえ、屋台とか出てるかな?」
「あー、出てるんじゃね?」
サングラスの位置を直しながら適当な返事をすると、実花は満面の笑顔を見せ俺の手を握って速足で歩きだした。
「早く行こう!!私ね、たこ焼き食べたい!!あと牛肉の串焼きも!!」
そう言いながら歩をゆるめることなく俺の方を振り返ってくる実花があまりにも楽しそうで、笑ってしまった。
「別に急がなくてもたこ焼きも串焼きも逃げないだろ」
「……それもそっか。足とか生えてるわけじゃないし」
実花はそう言って早足をいつも歩いている速度にした。
それに合わせて俺もゆっくり歩く。
実は実花の早足の速度が、俺が普段歩いている速度だったりする。