[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。



長松君はそう言って苦笑した。

私は顔の前で手を合わせて「ごめんね!!」ともう一度謝った。



「いいよいいよ!!二條さんと巡回したいっていうのは俺のワガママだったんだし、謝らないで」



うう、優しい。菩薩さまみたい。



「じゃあ俺ちょっと教務室行かないといけないから、ここでバイバイだ。手、お大事に」



そう言って長松君はニコリと人懐っこい笑顔を見せ、多目的教室から出て行った。


長松君…モテそうだな。
長松君と同じクラスの女の子のうち、数人は彼に想いを寄せていそうだ。


長松君と、長松君を想う女の子たちに幸あれ。




それから私も家庭科室に戻り、ひたすらたこ焼きを転がした。
若菜から包丁使用禁止令が通達されたから、キャベツを切ることは無かった。



< 258 / 352 >

この作品をシェア

pagetop