[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。
長松君はそう言って苦笑した。
私は顔の前で手を合わせて「ごめんね!!」ともう一度謝った。
「いいよいいよ!!二條さんと巡回したいっていうのは俺のワガママだったんだし、謝らないで」
うう、優しい。菩薩さまみたい。
「じゃあ俺ちょっと教務室行かないといけないから、ここでバイバイだ。手、お大事に」
そう言って長松君はニコリと人懐っこい笑顔を見せ、多目的教室から出て行った。
長松君…モテそうだな。
長松君と同じクラスの女の子のうち、数人は彼に想いを寄せていそうだ。
長松君と、長松君を想う女の子たちに幸あれ。
それから私も家庭科室に戻り、ひたすらたこ焼きを転がした。
若菜から包丁使用禁止令が通達されたから、キャベツを切ることは無かった。