[完結]お試し同居してみたら甘い恋がはじまりました。
「ほら。みんな見たいって。美男美女カップルのツーショット」
さらに騒ぎが大きくなるだけなのでは……。
「変に未練残すやつを生み出さないためにも、行ってきて」
そう言ってしゃがんでいた私の腕を掴み、立ち上がらせた長松君。
明るい笑顔を見せて肩を軽くポンッと押してくれた。
「自分があの伊塚湊の彼女だ!!って胸張って言ってきなよ」
……ああ、そっか。
これで私はもう湊君は私のだよって言えるんだ。
湊君を取らないでって思って、モヤモヤすることは無いんだ……。
私は「ありがとう」と一言言ってからその場を駆け出し、人ごみをすりぬけステージの上まで行った。