甘い恋じゃなかった。
「夜中にギャギャー喚きやがって。こっちは明日も仕事なんだよ!」
「す、すみません」
桐原さんの迫力に素直に謝ると、桐原さんはチッという舌打ちと共にドアの向こうに消えた。
愛良さんがそんな私たちを見て、楽しそうに口角を上げる。
「フ、いい気味。この調子でもっとお兄に嫌われればいいんだ」
「はぁ…?あのね、私たちはそもそも」
まだ私の言葉が終わらないうちに、愛良さんはさっさと私に背を向け寝てしまった。
なんて自由な!
「~~っもう!」
私は腹立ち紛れにドスドスと壁際まで歩き電気を消す。
もう眠っている愛良さんに配慮しようなんて気持ちは微塵もなかった。