甘い恋じゃなかった。
渋る愛良さんを引き連れてやって来たのは繁華街。
若者で賑わうここは、流行のスイーツもファッションも、なんでも揃っている。
「さぁ!」
「さぁって、何急に」
「愛良さんのしたいことしましょう!」
「別にしたいことなんてないから。無理やり連れてこられただけだし…」
そう言いつつ、愛良さんの目は近くのショーウィンドウに釘付けになっていた。女子高生に人気があるファッションブランドの店だ。
「あそこ行きたいの?」
「は、はぁ?誰もそんなこと言ってないしっ!」
無性に焦っている愛良さんが何だか可愛らしく思えてきた。
「いいから行きますよ、愛良ちゃん?」
「ちょっ何で急に“ちゃん”づけ!?」
「別に?いいでしょ6つも年下なんだし」
「ちょっと!」
あくまで強がる愛良さんの背中を押して、その店に入ると店内は女子高生らしい少女たちで溢れていた。売られている服も可愛らしく、キラキラしている。
なんかこういうお店入るの久しぶりだなぁ…。