甘い恋じゃなかった。




それからすぐに愛良ちゃんはマンションを出て行った。


“マジで学校から遠過ぎる”とのことだ。
部活にも復帰したようだった。






そして、3ヶ月後。




「いけっ決めろ!よぉしっ!!」



私と桐原さんは、愛良ちゃんの試合会場にまで応援に来ていた。


観客席から身を乗り出すようにして応援している桐原さん。



「よっしゃドンマイ!もう一本!」



手を叩き必死で声を出している桐原さんを、少し意外な気持ちで見つめる。



ふーん。桐原さんもこんなにスポーツに熱くなるんだ。いや愛良ちゃんが出てる試合だから、かな。



「おい、お前さっきから何俺ばっか見てんだよ?」


すると私の視線に気づいた桐原さんが、怪訝そうに振り向いた。


「見とれてんじゃねーよ」


「はぁ?調子乗らないで下さい」



私はベ、と舌を出してみせるとコートに視線をうつした。



よし、私も応援するぞ!





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