甘い恋じゃなかった。
♡花火とあおのかき氷
「あ〜…幸せ〜」
日曜日。私はいつものようにミルフィーユで至福の時間を過ごしていた。
おいしいケーキに、おいしい紅茶。
ここ最近の日曜日は、ミルフィーユに通って一人のんびりと贅沢に時間を過ごすのが日課になっていた。
「…暇そうだな」
カウンターの中から、コックコート姿の桐原さんが睨みつけてくる。
彼は先程までファンのお客さんから熱心に話しかけられその相手をしていたのだが、ようやく解放されたようである。
「イケメンも大変ですね、キララ王子☆」
「お前…ぶっ飛ばす」
桐原さんが拳を温め始めたその横で、店長が「相変わらず仲良しだねぇ」と生温かい目でそう言った。
「「どこが!」」
反論の声が見事にかぶる。
なんとも気まずい空気が流れて、私と桐原さんはお互いにフンと顔を逸らした。