甘い恋じゃなかった。




「まぁいいや。
明里、今日の夜暇?」


脚を組み直す莉央。
今日はこの分だと定時で上がれることは確実だし、その後特に予定もない。



「暇だけど?」


「そ。じゃぁ私がいいとこ連れてってあげる♡」



笑顔の莉央に、私は不吉な予感がした。




「いいとこって…?」


「教えなーい♡」




不吉な予感が更に深まる。




「あー、私やっぱり予定あっ「あっ!この請求書入力するの忘れてた!いっけない♡」



わざとらしくデスクに向き直り急に仕事を始める莉央!



どうやら“いいとこ”から逃す気はないらしい。



さぁ、どこに連れていかれることやら…。












「これなんてどう?
明里に絶対似合うと思うんだけど!」



そう言って莉央が強引に手渡してきたのは、薄いピンクの下着。胸のところにリボンが付いていて、見た目はとても可愛い。可愛いけど…




「なんか全体的に透けてるしパンツのサイドのところ、紐なんですけど!?」



「えー、普通じゃんこのくらい」



「絶対、普通じゃない!!!」




そう。ご察しの通り、私が連れてこられたのは莉央が御用達らしいランジェリーショップ。



そしてそのお店にあったセクシーランジェリーを無理やり買わせられそうになっている。



いつも私が「こんな下着誰が買うんだろう…私にはまだ五億年くらい早いかな…」なんて畏敬の念で見つめていたような下着である。



それをまさか、この手に取る日が来ようとは…!





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