甘い恋じゃなかった。



「も〜、そんなんだから明里は全然彼氏できないんだよ!?」


不服そうにそう言って、莉央が店員さんにビールのお代わりを頼む。



「別にいいだろ?ほっとけよ」



意外にもフォローしてくれたのは牛奥だった。



「人類皆がお前みたいな恋愛体質ってわけじゃないんだから」


「うるさい黙れ童貞」


「はぁ!?俺は童貞じゃねぇ!!」


「ふーん?じゃぁ最後いつ?」


「おっ俺のそういう事情はどうでもいいだろ!?」


「言えないんですかー?童貞」


「だから童っ…!」




「あーもう!この話題終わり!!」




童貞を連呼しようとする牛奥の口に揚げ出し豆腐を突っ込んだ。



「熱っ!」と口を抑える牛奥。あ、やばい。塩ダレキャベツにしとけば良かった。




「ふん、ヘタレが」



莉央がビールをまるで水のように流し込みながら勝ち誇ったように言う。




「莉央も絡むのやめなよー…」


「別に絡んでないけど?」




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