甘い恋じゃなかった。
ていうか、そういえば好きな人がいるんだよね、牛奥。結局誰かは教えてくれなかったけど、その子とはどうなったんだろう?
「好きな人にはもう告白したの?」
「っぶ!!」
私の質問に、飲んでいたお冷を吹き出す牛奥。
「そこまで動揺しなくても…」
「べっ別に、ど、動揺なんてしてねーよ!?」
めちゃくちゃ噛んでる牛奥。めちゃくちゃ動揺してるじゃんか。
「そーだよー、いつ告るわけ?牛奥」
乗っかってきた莉央を、牛奥が軽く睨んだ。
「お前なぁ…」
「すみません、生ひとつ下さい~い」
牛奥の睨みはスルーし、近くを通った店員のお兄さんに追加注文をする莉央。
牛奥が呆れた表情で言う。
「早乙女ペース早すぎ。
潰れても知らねーからな」
しかし、その数時間後。
「だ~か~ら~、ヘタレじゃねぇからぁ~!!」
先に潰れたのは牛奥の方だった。