甘い恋じゃなかった。
控えめに、はしっこをフォークですくいとり、口に運ぶ。
パクリ。
口にいれた瞬間、あ、と思った。
何これ。すごい。
食べたことのない、ケーキだ。
思わずもう一口すくって食べる。
このクリーム、雪みたい。口にいれた瞬間ふっと溶けて、いなくなる。でもその上品な甘さはいつまでも口の中で残っていて、柔らかなスポンジがそれを優しく追っていく。
…すごい。何これ、すごい。
世界がパッと色づいて見える。
「すっごくおいしい…!!」
こんなケーキ、出会ったことない。