甘い恋じゃなかった。
♡突然のハグとカボチャプリン
…何だこれは。
それから一週間ほどが経ち。
日曜日。私はミルフィーユに来ていた。桐原さんのことを“好きだ”と自覚してからはじめての来店だ。
ここにくるのは正直、すごく勇気がいった。
桐原さんの顔、まともに見れる気がしなかった。
でも…不思議だ。
私は決して恋多き乙女タイプではない。というか、正直かなり枯れている部類の女だと思う。
そりゃ長い人生、合コンに行ったり友達にそのまた男の友達を紹介されたり、そこで出会った人と何となくいい雰囲気になって、なんとなく二人でご飯に行ったり映画に行ったりして、なんとなく交際するかもな、なんて思ったこともある。
でも、なんとなく、別にいいかなぁと思ってしまって連絡を返さなくなったりして。相手も別にそんなに執着があるわけではないから、特に追いかけてくるわけでもなく。逆に、相手から段々と連絡が途絶えたりして、なかったことになって。
そんな感じで生きてきた。本当に、我ながら枯れ切っている恋愛遍歴だと思う。(というか最早語れるだけの恋愛遍歴が何もない)
だから知らなかったんだ。
“会いたくて 会いたくて 震える”
どこかの歌姫がそんな歌を歌っていた。…正直震えてはいない。だけど、はじめて少し気持ちが分かったような気がする。
恋をするって
会いたくて、会いたくて、たとえ拒絶されたとしても。
素直に、会いたいと思ってしまうものなんだって。