甘い恋じゃなかった。
♡アホとバカと夜中の…
土曜日。
私は掃除に精を出していた。
部屋の隅から隅まで、丁寧に掃除機をかける。続いてクイックワイパーでピカピカに磨く。
キッチンや風呂、トイレといった水場の掃除もしっかりと。
「あー、すっきり〜!」
綺麗に片付いた部屋の真ん中で、私は大きく伸びをした。
やっぱり部屋が綺麗になるというのは気分がいい。
心なしか空気も、いつもより澄んでいるような気がする。
だけど、見ないようにしていても、どうしても気になってしまう部屋があって。
…桐原さんが、使っていた部屋だ。
彼がいなくなってから、全く使われることのなくなってしまったその部屋。
もうそうする必要などないのに、私は未だにリビングに布団を敷いて寝ている。
「………」
だけど、いい加減、前に踏み出さなければいけない気がする。