甘い恋じゃなかった。
「よしっ、じゃぁ、そんな2人にこれをあげよう。こないだ常連さんから貰ったんだけどね、僕は行かないから。2人で楽しんできなさい!」
そう言って店長が差し出したチケット。なんと、遊園地の入園が無料になるチケットのようだ。
「うわぁっ!いいんですか!?ありがとうございます!」
やっと桐原さんから解放された私は、喜んでそれを受け取る。
私は昔から遊園地やテーマパークが大好きなのだ。
だけど喜ぶ私とは対照的に桐原さんは渋い顔だ。
「おい、喜んでるとこ悪いけどいつ行くんだよ?俺とお前休み合わないだろ」
「あっ…」
しまった、そうだった!
私は土日休みで、桐原さんは水曜日が定休だ。
ショックを受ける私に、店長が「そんなことはノープロブレムさ!」とウインクをかましてきた。
「キララくん喜びたまえ!明日、君に有給を授けよう!」
おお!さすが店長ー!と思ったのに。
「や…いいですよ。日曜忙しいじゃないですか。別に遊園地行きたいわけじゃないですし」
ちょっ…とぉぉ。まさかの桐原さんが拒否!私とデート、したくないんだろうか。